日本は、国内の鉄鋼蓄積量が12億トンを超え、世界でも有数の蓄積量を誇る「鉄」の国となりました。これらの多くは都市部にあり、このことから「都市鉱山」とも呼ばれます。ここから“掘り出された”鉄スクラップは、国内での再利用だけでなく、輸出までされるようになりました。資源の少ない日本にとって、輸出可能な数少ない「資源」の一つなのです。
かつて「鉄は国家なり」と言われました。鉄スクラップは「戦略物資」の一つに位置付けられ、太平洋戦争前には、米国による「対日鉄屑禁輸措置」が採られたこともありました。今日においても、例えば中国のように、新たに経済発展を遂げようとしている国にとっては、開発を進めるうえで鉄スクラップは必要不可欠な資源です。そういった意味では鉄スクラップの重要性は“錆びることなく”ますます高まっていると言えるのです。

■発生した鉄スクラップは、回収業者によって回収され、加工業者に運ばれます。加工業者は、それぞれの鉄スクラップの性質や需要家のニーズに応じて、「プレス(圧縮)加工」、「シャーリング(せん断)加工」、「シュレッダー(破砕)加工」、「ガス切断加工」等を施され、内外の製鋼メーカーが使用しています。

■スクラップは年間約3,440万トン(2005年)が回収され、リサイクルされていますが、その発生量は鉄鋼蓄積量と大きく関係しています。鉄鋼蓄積量とは、日本国内で使用され、現在何らかの形で国内に残っている鉄の総量のことで、その形態はビルや橋などの建築物や自動車、家電製品からカミソリの刃までさまざまです。現在の鉄鋼蓄積量は12億トンを越えており(2004年度)、さらに増加し続けています。これまで鉄スクラップの発生量は鉄鋼蓄積量の2〜3%で推移しており、鉄鋼蓄積量の増加とともに鉄スクラップの発生も増加が見込まれています。

■スクラップの収集の形態はさまざまですが、専門の回収業者が集荷し、建物や自動車などの解体業者が鉄以外の付着物や部品をある程度まで取り除いたものを、スクラップ加工業者で加工するのが一般的です。

■加工されて鉄以外の不純物を取り除いた鉄スクラップは、主に電気炉で溶かされて再び新しい鉄に生まれ変わります。日本国内にはおよそ60社の電炉メーカー(電気炉による製鋼メーカー)があり、2006年の場合、全体で約3,026万トンの鉄を生産しています。再生された鉄は、建材として使用される棒鋼やH型鋼として製品化されるのが主流ですが、近年では薄板等にも加工されています。

■日本の鉄スクラップ輸出量は年間600万トンを超え、国内の鉄スクラップ市況は輸出価格(国際市況)に大きく左右されるようになりました。日本の鉄スクラップの主な輸出先は、中国、韓国、台湾です。これら東アジア諸国の製鋼メーカーの購入動向は、市況動向をつかむ上で、目の離せない要因となってきました。

関連会社:埼玉金属株式会社